洗練されたデザインを目指す時に思うのが、外装も内装もステッチを目立たせたくない。
特にレザーの色にこだわった作品ほどこう思います。
でも基本の平縫いをするとどうやっても両面で同じ色にはならない。。。
市販のものはミシンの上糸、下糸で出来るらしいけど、手縫いだと出来るのか?
まずはこんな疑問を抱えながらも、いろいろと思考を重ねて手順を考えてみました。
まずは糸の染色から
表と裏で糸の色を変えるには、糸を半々に染色するところから始まります。
今回は半分は赤、半分は茶色に染めていきました。
取り合えず半分のところにセロハンテープでマスキング。
その後染色液の中に糸をドブ漬けします。
麻糸の具体的な染色方法、色の調整方法についてはこちらの記事を参照して下さい。
こちらが半分を染色した後の画像。
結果として分かったこととしては、マスキングしても染料が毛細管現象?で染み込んでくる。
もちろんマスキングしないよりはマシなのですが、色の分かれ目は少しボケてしまうかもしれません。外側からマスキングしても内側から染料が侵入してくるので、完全に色が半分を超えるのを防ぐのは無理っぽいですね。
表と裏を別の色に仕上げる縫い方
色の境目を革の中間に隠します。やっぱり少し境目はグラデーションに近いですね。
平縫いと同じなのはここまでで、この後からは全く違う方法で縫っていきます。
銀面側から針を通します。
最後まで引っ張ります。
先ほど抜いた糸を同じ穴に内装側から通します。
そうして輪っかを作ります。
もう一方の糸を輪っかの内側から取り、輪っかの手前に通します。
この状態になったら外装側に出ている糸を引っ張ります。
赤い糸が内装側から見えないように、革の中間に来るように引っ張っていきます。
この工程を繰り返して縫い進めていきます。
手縫いで表裏違う色にする縫い方の難しい点、デメリット
色合いはバッチリになる反面、デメリットも隣り合わせなのがこの縫い方なのですが、そのデメリットがこちら。
・ステッチが安定しにくい
・縫い目を革の中間にしっかり入れないと、反対の糸の色が見えてしまう
まずは1つ目から。
平縫いと違って均等に引っ張りにくいために、ステッチを合わせるのがものすごく難しいです。
特に革の中央に糸を収めるために、ある程度の力で引っ張る必要があり、それをすると場合によっては引っ張り過ぎによってシワになりやすかったりします。
2つ目のデメリットは上の画像のステッチ中央あたり、一か所引っ張り方が甘くて内装から赤い糸が見えてしまっている場所があります。
平縫いだと手の感覚だけでスイスイ塗っていけますが、この縫い方だと糸の入り具合を逐一確認しながら縫っていくので、時間もか掛かるというデメリットも存在します。
美しく仕上げるには、相当手間とテクニックが要りそうです。
糸始末について
糸始末についてですが、最後はこのような状態にして引っ張ります。
これで中に結び目が出来るのでほどけにくくなるはずです。
両側の糸を写真の状態から締めた後、表側に出ている茶色い糸を最後に通した穴から斜めにさして、1つ先の穴で糸を始末します。
通常の糸始末の最後と特に変わらないです。
まとめ
洗練された作品を手縫いでも作りたかったのでこの方法をやってみましたが、綺麗に仕上げるのはなかなか難しかったです。
特に糸調子の調整は本当に大変です。銀面の糸の色を革の中間に収めようとすると、どうやってもきつく締まってしまうんですよね。
よりシワのよりやすいクロム鞣しの革では向かないかもしれませんね。やってないから正確には分かりませんが。
ただ糸の色を革の色と揃えることで、色合いは本当に綺麗になったので興味がある方はトライしてみてください!
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