基本的な技術が一通り出来るようになったら手を伸ばしたいのがこの染色。単にヌメ革をそのままアイテムにするのではなく、思い思いの色を付けることにより自分を表現する幅がかなり広がります。
ただ染色といっても革に色を付ける方法は数多くあります。その中でも色付けに使用される代表的なものが染料と顔料。
まずは染料と顔料がどう違うのかについて話しておきます。
染料と顔料の違い
染料と顔料の特徴についてみていきます。
染料の特徴
- イメージとしては”染める”
- 浸透しやすく素材の風合いが活きる
- 色や艶が経年で変わっていくためレザーらしいエイジング楽しめる
- 耐水性が低く色落ちしやすい
顔料の特徴
- イメージとしては”上塗り”
- 鮮やかな色が出やすく色落ちしにくい
- 素材のキズを覆い隠すことが出来るので、キズの多い革でも使用できる
- エイジングしにくく、元の状態を長い期間キープできる
- 顔料を革の上に”乗せている”イメージなので、革の風合いが損なわれる
個人で染色を行う場合は染料が使われることが多いです。
レザーの染色には主に塩基性の水性染料とアルコール系の染料を使用します。塩基性の染料とアルコール染料の差を以下にまとめてみました。
塩基性水性染料の特徴
- 色のバリエーションが豊富
- アルコール系染料と比べ安価
- 透明感のある仕上がり
- 陽イオンの塩基性染料と陰イオンのタンニンなめし革がイオン結合することで染色できる
- 堅牢度(色落ちや光による退色への耐久度)はアルコール染料に劣る
- 染料同士を混色することは可能だが混ぜれば混ぜるほど濁る
- 酢酸が入っているため酸っぱいにおいがする(酢酸を入れると染料の粉が溶けやすいため)
アルコール染料の特徴
- 耐光性に優れ経年劣化しにくい
- 乾燥のスピードが早く、乾燥後は塩基性染料で染めたものより硬くなる
- 混色が可能
- 堅牢度が高い
- アルコールが入る分革が硬くなる
冒頭でも触れましたが、染色が出来るようになるとヌメ革を購入した場合表現の幅が大きく広がるので是非覚えていきたいです。そのためにまず染色で使用する道具について一通り紹介します。
染色に使う道具
まずは水性染料。市場でよく見るのはクラフト社のものとSEIWAのものです。
クラフト染料よりもローパスバチックの方が臭いも少なく発色という意見もありますが、そのうち実践してみたいと思います。
アルコール染料も同様にクラフト社とSEIWAのものが有名です。もちろんこれ以外もあるので試してみるといいです。
顔料はまさに絵具みたいな感じです。
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ヌメ革への染色は風合いを活かすため水性染料を使いますが、色つきの革を染め直す場合は顔料じゃないと染まりません。
全面に使うと革の風合いが失われるので、ピンポイントのデザインに使うとかならありかもしれませんね。
顔料には染めQといったスプレータイプのものもあります。超微粒子で革の手触りを変えずに染められるようですが、かなり高いです。
染料で染色を行った後には基本的に色止めや加脂などの仕上げ処理が必要になります。
染色において色を染めるのと同じくらい重要な工程なので、そのことについてはまた別の記事で触れたいと思います。
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