日ごろ雨でびしょびしょになる仕事をしている友人から
「びしょびしょになっても大丈夫なスマホケースを作ってほしい」
という依頼をもらいました。
びしょびしょになるならそもそもレザーは向かないんじゃないかなと思いながらも、レザーの防水性と色落ち防止に真剣に向き合ってみましたので、その結果を報告します。
防水性アップ&色落ち防止のための実験内容の紹介
まず今回使用したのは
・スコッチガード
・レザーフィックス
・レザーコート
この3つです。
防水性を考えたとき、他にもラッカーやエナメル光沢剤なんかもありますが、光沢が出やすく好みでないので省きました。
オイルレザーなども、そのものが持つ油分で水をはじき、防水性が高いのですが、こちらも今回は割愛です。
またスコッチガードは聞きなれない方が多いと思いますが、これは普通に革靴に使う防水目的の保護材です。
ただ最近スコッチガードレザーなるものの存在と、その高い防水性を知ったので試してみました。
使用したのはこの3本。
仕上げ材としてお馴染みのレザーフィックスとレザーコートと、スコッチガードです。
スコッチガードは本来ヌメ革には使わないでくれとのことですが、ものは試しなので使ってみました。
今回は防水とともに色落ちの実験もするので、染色したものとそうでないものを準備しました。
左上から順に
①スコッチガード
②レザーフィックス
③レザーコート
④染色+スコッチガード
⑤染色+レザーフィックス
⑥染色+レザーコート
⑦染色+レザーフィックス+レザーコート
ちなみに効果を高めるために、各仕上げ材ともに2度重ね塗りをしています。
各仕上げ材を塗り、再び仕上げ材を塗るまで30分間隔を取って塗りました。
レザーの防水性の実験
各サンプルに水滴を2滴垂らして染み込み方の差を比較します。
~垂らして1分ほど~
レザーフィックスを使用したもののみ染み込んでしまっています。
~20分経過~
レザーフィックスは完全に染み込んでしまいました。
レザーコートはヌメ革の方で若干染み込みが進んでいますね。
スコッチガードはさすが、水滴は染み込んでいないように見えます。
~ふき取った後~
どれくらい染み込んだか、わかりやすいように水滴をふき取って比較してみました。
ほぼ上で書いた通りですが、ふき取るときに圧力がかかったせいか、スコッチガードでもヌメ革の方ですこし染み込みが出来ました。
私の重ね塗りに少しムラがあるのか、染色したサンプルの方が、ヌメ革サンプルより染み込みが浅かったです。
ただ防水性の傾向はしっかり見えてますね。
スコッチガード>レザーコート>レザーフィックス
こんな感じじゃないでしょうか。
染色したレザーの色落ちの実験
今度はウェットティッシュでサンプルをこすり、色落ちの度合いを確かめてみます。
各サンプルとも100往復こすってみました。
防水性の高かったスコッチガードも、仕上げ材ではないため色落ちは顕著でした。
レザーフィックスはこちらでもイマイチの結果。私の使いかたが間違ってるのか疑問に思うレベルです。
一方レザーコートは色落ちでも大健闘。100往復ではほぼ色落ちしていないといってもいいかもしれません。
最後にスコッチガードとレザーフィックスの重ね塗りは、塗り重ねた回数が他のものより必然的に2回多くなるため、少しは色落ちも改善したものの、レザーコートに負ける結果でした。
まとめ
防水性は高い方から順に、スコッチガード、レザーコート、レザーフィックス。
色落ちは効果が高い方から順に、レザーコート、スコッチガード・レザーフィックスほぼ同率。
このような結果になりました。
個人的にはレザーフィックスの方を好んで使ってたんですが、単体で仕上げを考えた場合、レザーコートの方が優秀なのかも知れませんね。
またヌメ革には使わないでと書いてあったスコッチガードも、革の硬化とかも含めて大丈夫そうなので、一応使えそうなんじゃないかな。
仕上げ材はまだ他にもあるのと、オイルレザーなどもともとの防水性が高いものもあるので、最強の組み合わせはまだ見つけられるかもしれません。
しかし今回はくしくもサンプルを作っていないレザーコート+スコッチガードが最強かもしれないという感じです。
結局レザーフィックス対レザーコートみたいになってしまったので、今回できなかった組み合わせについては、いつかできたらいいなと思っております。
防水を考えたアイテム設計を考えている方は是非参考にしてください。
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