レザーブランド紹介第二回目の今回は、地域のレザーブランド「KIBINO」を紹介します。
最近行った山口産業さんの工場見学で知ったブランドなのですが、ブランドとしてのあり方に非常に感銘を受けたので紹介します。
KIBINOの特徴
イノシシ革を使用
KIBINOでは岡山県吉備中央町で捕獲したイノシシを材料として使用しています。
田舎では農作物を荒らす有害獣として農家の方を悩ませるイノシシ。
もちろん放っておくと増える一方なので、農家の方が対策をしたり猟師の方が駆除したりされています。
駆除されたイノシシは猟師の方やその知人に食料として食べられてきましたが、皮はというと廃棄されていました。
その廃棄されていた皮を資源として有効活用し、バッグやアクセサリー、文房具などの皮革製品に生まれ変わらせる、それがこの「KIBINO」というブランドです。
イノシシ革の魅力
豚革を思わせる∴模様は、かつて体を守るため硬く雄々しい毛が生えていたことを主張し、
表面にできた傷は生前に悠々と野山を走り回っていた時のワイルドさを物語ります。
自然に生きるイノシシらしく、その革は摩擦に強く非常に丈夫です。
画像Clickで拡大できます。イノシシ革の特徴がよくわかりますよ。
軽くて通気性も良いのでスリッパとしても適した素材です。
写真は室内履き用のスリッパです。
ネットショップだけでなく以下の場所で実物の販売も行っているようです。
・岡山県総合福祉・ボランティア・NPO会館内 1階 「セルプおかやま」
・岡山空港 待合ロビー
・きびプラザ内
・晴れの国おかやま館
※定休日にご注意ください
障がい者支援の一環として
これらの製品を実際に作っているのは実は体に障がいを持った方々なのです。
販売や商品の開発は「セルプセンター」という特定非営利活動法人岡山県社会就労センター協議会の一部門が請け負っているのですが、製品の製造に関しては岡山県内にある障がい者自立支援団体に所属する障がい者の方が行っています。
障がい者の方が製品作りに携わることで自立支援、社会参加の支援を目的としています。
捨てられてしまう命を有効活用することで、障がい者の方にも仕事をしてもらえる素晴らしい循環です。
以下のものもそうやって作られた製品の一例です。
品薄状態になるほど人気のトートバッグ
デザインや手触りの良さを気に入って購入する方が多いそうです。
MATAGIプロジェクトについて
こういった取り組みを可能にしているのが山口産業さんが行っている「MATAGIプロジェクト」です。
このプロジェクトが無ければ何も始まらなかったことでしょう。
「MATAGIプロジェクト」とは
シカやイノシシの獣皮を有効資源化し、産地活性に繋げる事業がMATAGIプロジェクトです。獣皮活用をサポートするNPO・学校・なめし工場等のメンバーを中心に2013年4月より実行委員会として組織化し、2015年4月現在、全国90以上の産地や団体を支援しています
山口産業株式会社ホームページより
山口産業は豚革をなめすタンナーとして日本の皮革産業に貢献しています。
ある時地域から廃棄になる獣の皮をなんとかしたいと相談を受けたのをキッカケに、2008年から獣皮のなめし支援を開始しました。
しかし鞣し以外の加工前の情報提供や製品化、販売は山口産業だけではできません。
そこで立ち上がったのが産地、なめし工場、地域支援に関わる人をネットワークで繋げる「MATAGIプロジェクト」です。
山口産業様工場見学記事はこちら→皮なめしの工場見学in東京~山口産業~
まとめ
みんなが知っている有名ブランドではないけど、ストーリーだけならどこにも負けないものがあると思います。
まさに地域の活性化につながるブランドですね。
各自治体がPRのためにこぞってゆるキャラを生み出す世の中ですが、新しい地域の差別化PRとしてこういう取り組みが増えていけばいいなぁなんて思ったりします。
他にもこういうブランドがあるというのをご存じの方がいらっしゃいましたら教えて頂きたいです。
将来私も是非こういう活動をしてみようと心に誓うのでした。
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